起きたら9時近かった。今日は、夕方に徒歩でシンガポール・マレーシア国境を越えて深夜にクアラルンプール行きの寝台列車に乗る予定。果たして無事に国境を越えられるのか、寝台列車の切符は売り切れずに残っているか、旅にはこんな不安がしょっちゅう付きまとう。
ホテルのシャワーはお湯の出が悪かった。おかげで熱帯に来たにも関わらず、寒い思いをしてシャワーを浴び終えた。朝食は出ないから、そのままチェックアウト。荷物を預かってもらって出発。
歩いてラオ・パ・サ・フェスティバル・マーケットへ向かった。ここはけっこうでかいフードコート。歩いてくる途中、街の景観を見ながらつい「香港よりは上海似だな」と考えてしまう。最近どうも過去に行った街と比較してしまうクセがある。それだけ自分の中に海外に来る新鮮さが失われたってことでもあるだろうし、なんせ他の都市をもってきて簡単にまとめようとしてるのはいけない傾向だ。しばらく海外は控えようか。まぁそんなことはよくて、そのフードコート、時間も時間なだけに(10:30くらい)人もがらがら。とりあえず店を1周してみたが決められず、無駄にもう1周してミーゴレンを食べることにした。マレー料理以外では当然、中華料理の店が多かったが、この旅を終えて2日後には2度目の香港・マカオ行きが待ってるから、あえてこの旅では中華を食べないようにした。ミーゴレン、日本でもなんとなく名前は聞いたことあったがよく知らなかった。マレー風の焼きそばらしい。出てきたものを見てびっくり。いかにも辛そうだった。食べると見た目以上に辛かった。舌だけじゃなく胃も火を噴いていた。あまりの辛さに途中で退散。ジュースを含めてS$5.5の出費は決して安くないだろう。
またまた歩いて、シンガポールの象徴、マーライオン様に会いに行った。世界三大がっかりにも数えられる逸品だ。ここぞとばかりにマーライオン様の周りには日本人が多い。水を噴いていることはまれと聞いていたが、このときは惜しげもなく噴いていた。
地下鉄でオーチャードロードへ行った。ここはショッピング街。ひたすらショッピング街。今の金欠っぷりから買って帰ることはまずないが、とりあえずぶらぶら見て歩く。おれは基本的にウインドウショッピングというのが嫌い。買う気がなきゃ見る気にもなれない。とまぁひたすら歩いていたらおれでも入れそうなHMVがあった。本来ならアイドル探検隊といくところだが、候補が多そうなんでやめた。というか探すのが面倒だった。日本人歌手はどれほど人気あるのか見てみたら、意外とけっこうな人気だった。韓国人歌手と一緒のランキングに入れられてたけど、TOP10のほとんどを日本人が占めていた。
またてくてくオーチャードロードを歩いていると雨がぱらついてきた。しかたなく近くのカフェみたいなところに入ってオレンジジュースを頼んだが、店員がやたら愛想悪かった。自分の中に「外国人=愛想がいい」みたいなイメージある時点で間違ってるが、なんかむかついた。
特にすることもないが、しばらくインドに行く機会もないだろうと思ってリトル・インディアに行ってみた。地下鉄の出口付近からおれの嫌いなカレーの匂いが漂っていた。街の雰囲気も今まで見てきたシンガポールとはちょっと違う。フードコートなんかの雰囲気も違った。でもそんなん見てたら一瞬で飽きた。ってことですぐチャイナタウンに帰った。
地球でちょこっと書いてあったマッサージ屋に行ってみた。最近は、家と大学の往復以外に足を使わないから、ちょっと歩いただけでもけっこうしんどかった。値段を見て30分のコースを頼んだ。やってくれたのがおばちゃんだったのは悲しかったが、腕は今まで行った中で最高だった。よくわかっていらっしゃるお方だった。またシンガポールに行くことがあればぜひお世話になりたい。
そんなわけでまだ16時くらいだったがホテルで荷物をもらってシンガポールを離れることにした。ブギス駅で地下鉄を降りて、バスターミナルへ。このバスターミナルはシンガポールとの国境の街ジョホールバス行きのバスがメイン。おれが着いた頃にバスが出発してしまった。S$2.4のチケットを買って、バスに乗り込むと10分ほどで出発した。
30分ほど走ってイミグレーションに到着。バスを降りて建物の中で出国審査を受けた。周りを見渡したが、日本人らしき人はいなかった。確かにこの時期にシンガポールとマレーシアの国境を陸路で越えるような日本人は少ないかもしれない。出国審査を終えたら、マレーシア側のイミグレーションまでバスに乗ることもできたが、おれは歩いた。歩いて国境を、国境線を越えてみたかったから。今まで、十数カ国行ったが、徒歩で国境を越えるのはこれが初めてだった。建物を出ると大雨が降っていた。屋根のあるところでしばし待ってから出発。歩道は狭く、すぐ横をバイクが通るため、微妙に危険を感じた。が、国境線を見るためだ、仕方ない。夕暮れのジョホールバル水道は悪くなかった。恐らくこの辺が中間だろうと思うところに来たが、線らしきものはない。気付かないうちに越えてしまったのではと後ろを振り返りながら歩いていたらとうとうマレーシア側に着いてしまった。何のために歩いてきたんだか。まぁ歩いて越えたのは初めてだから良しとしよう。
マレーシア側に着いたのはいいが、どこで入国審査を受けるのかわからない。確かに歩道沿いをずっと歩いてきたのだが、それらしき案内もなかった。とりあえず近くの階段を上がってさまよっていたら係官みたいなのがたまたま通りかかって教えてくれた。微妙に日本語をしゃべる奴で怪しいんじゃないかと思ったがちゃんと連れてってくれた。ていうか教えられなきゃたどり着けなかった気がする。
面倒くさい出国カードを書かされた。東南アジアのくせに生意気だ。おれの前に受けていた韓国人は帰りの航空券を提示させられたりでずいぶん時間かかっていたが、おれのときはあっさり終わった。過去にマレーシアにやって来た日本人の先輩方に感謝するよ。
「ジョホールバルの歓喜」のジョホールバル。さっきのシンガポールとはまるで違う雰囲気。バイクやタクシーの客引きがうざい。地球にもジョホールバルは治安が悪いと書いてあったが、そんな匂いがぷんぷん。ちょっと大きめの建物の中の両替商で両替しようとしたが、相手が男でうさんくさそうだからやめた。後にそいつはたぶんまともであろうことはわかったが。女の店員のいるところでシンガポールドルをマレーシア・リンギット(RM)に交換。少額だったためS$50⇒RM111.5とレートは悪かったが、英語で丁寧に説明してくれたから安心。今思えばもっとやっときゃよかった。
駅に行って、今日の深夜発の列車を予約した。23:30頃発で翌朝6:30くらいにクアラルンプールに着く。2等でRM42。1300円くらいか。これで1泊分浮くと考えるとかなり安い。ちなみにRM50以上だとカードで払える。RM50払うからカード払いにさせてと頼んでみたが、すまなそうに断られた。
荷物があるからあまり動きたくはないが、近くの屋台なんかを見て回った。
夕食はナンとペプシ。だがナンの中にはカレーが入っていた。しかも辛いし、ナンは油っぽいし、また胃がヒーヒー言っていた。とても全部は食べきれなかった。やはり辛いものを食べられないと東南アジアはきつい。
19:00くらいになって、シティスクエアというデパートに行ってみた。周囲の街並みからは想像できないほど中はきれい。スタバやマックがあったり、シネコンがあったり。暇にまかせてぐるぐる歩き回った。ていうか、ここがなかったら本当に暇をつぶす場所がない気がする。
疲れて入ったカフェでホットコーヒーのミディアムを頼んだら、ジョッキに入って出てきた。こんな量飲めるか!ってくらいの量。しかも熱いものをガラスに入れるというのが奇妙だ。全部飲んだら死にそうだら半分くらいで店を出た。
地球にはこのデパートの中にネットカフェがあるって書いてあったから、そこで時間をつぶそうとしたがどんなに探してもない。案内所で聞いてみたところ、確かに昔はあったが今はつぶれてしまってないらしい。ってことで駅の待合所で出発までの2時間を過ごした。
15分ほど遅れて列車は到着。列車は異様に長かった。恐らく山手線より長いだろう。おれは下段のベッド。こうして寝台車に乗って車窓を眺めていると、改めて旅に来たなぁという実感が湧いてくる。明日の朝にはクアラルンプールだ。
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