朝5:00頃目が覚めた。めちゃくちゃ気持ち悪い。吐き気がする。なおかつ胃が痛い。ベッドの中で必死に吐き気をこらえながら何が原因でこうなったのか考えた。恐らく、昨日のチキンライスかおやきだろう。30分以上頑張ってはみたもののやっぱりだめだった。トイレに行って、ゲロゲロオエーッ。
ベッドに戻ると微熱を感じた。なんだ?最近、話題の鳥インフルエンザか?新年早々とんでもないことになってしまった。
フェリーターミナルには12時までに行けばいい。チェックアウトも12時まで大丈夫だから、ぎりぎりまで寝ることにした。
本来なら暖かい場所なはずなのに寒気を感じた。フェリーターミナルまで徒歩約10分。異常にしんどかった。脱水症状のせいか手足の指先にしびれを感じていた。とりあえず医療事情の良さそうなブルネイに早く行きたかった。
フェリーターミナルは大混雑。チケットカウンターには係員の周りに人だかりができていて、誰がどの順番なのかわからない。こいつら列を作るということを知らない。チケットをもらわないといけないから人だかりに紛れてみたものの、今にも倒れそうだった。係員の手際も悪く、すげぇ人いっぱい待ってるのにまるでお役所仕事だった。ようやくおれの番が来たと思って、パスポートを見せると15時の便しかないと言う。「何を言ってんだ、おれは昨日予約したんだ」と英語で言ってもまるで通じてない。とにかく具合悪いんだから早くしろ、と思っていたらちょうど昨日の女性係員が通りかかっておれの顔を見るや否や助けてくれた。昨日のことを覚えていてくれた。おかげで13時発のチケットをもらうことができた。ほんと彼女がのおかげなので、この場を借りてありがとうと言いたい。
そのチケットをとる押し問答の最中、どこか見覚えのあるような親近感のもてる東南アジア人が助けてくれた。彼の名はマザラン。38歳。船に乗るまでの乗り方をいろいろ教えてくれた。
マザランはブルネイ人。休暇でクアラルンプールに行っていて、今日はその帰り。ブルネイ人もクアラルンプールに行くのにわざわざこのルートを使うそうだ。確かにブルネイ⇔クアラルンプールの直行便はあるのだが、ラブアンを経由したほうが安いらしい。彼は結婚していて3人の子供がいる。家族を休暇に連れて行かなかったのか気になるところだが、それはよしとしよう。
船の中でも隣の席でいろいろ話した。ブルネイで一番大きい放送関係の会社に勤めていて、以前1ヶ月だけ日本に研修に来たことがあるらしい。そんなわけで日本人のおれを助けてくれたのだ。彼と話している間は少し体のだるさも忘れることができた。
理由はわからないが50分遅れでフェリーはブルネイの首都バンダル・スリ・ブガワンから車で1時間ほど離れた場所にあるムアラに着いた。入国審査場は狭くて長蛇の列。ブルネイ人のマザランはさっさと終わらせて行ってしまったが、マレーシア人やインドネシア人が多い外国人用のほうはまるで進まない。20分ほど待ってようやく通過。酒の持ち込みはないか聞かれて税関も通過。そしたらマザランが待っていてくれた。車で来ているからバンダルスリブガワンまで乗せていってくれると言うのだ。なんて優しいんだ。お世話になることにして駐車場まで行った。ポンコツ車だと彼も言っていたが、本当にポンコツだった。ホンダ製だったが既に20年は経ってそうな代物だ。エンジンのかかりも抜群に悪い。「ひどい車だろ?」と言われても「うん、そうだね」とも言えず答えに困った。
バンダルスリブガワンまでの道のりはどこか北海道の田舎を走っているような気分だった。道の広さといい、ぽつんぽつんと建つ家だったり…。途中、ケータイでマザランの奥さんとも話をした。これと言って話すこともなく挨拶程度だったが、マザランがうれしそうにおれを紹介してくれていてこっちも嬉しくなった。
「この後、食事でもしないか?」とマザランが誘ってきた。気持ちはうれしいが風邪のせいでとても食事できる気分ではない。丁寧に断ったら、飲み物くらいならいいだろうってことで、途中、地元の人が行きそうな中華料理屋に行ってお茶を飲んだ。なんだかよくわからないが、親切にしてくれるのはありがたい。そして、明日市内を案内する、と言ってくれた。まぁ明日に風邪が良くなっている自信はなかったが、せっかくのことなのでお願いすることにした。ここがブルネイじゃなかったらすぐ断っていたけど。
結局、今日の宿「テラスホテル」まで送ってくれた。地球の地図ではわかりにくかったが、このホテルはけっこう中心から離れている。これを自力で来るのはきっと大変だったと思うと、本当にマザランには感謝、感謝。そして、明日12時にホテルの前で待ち合わせる約束をして別れた。もし、明日来てくれなくてもそれはそれでいいと思った。今日してくれたことだけで十分うれしかったから。
ホテルに入って即寝た。水で冷やしたタオルを額に当てながら。こんな風に風邪をひいたのは久しぶりだ。今回は準備が悪くて、薬といったものを全く持ってきていなかった。
21時頃目が覚めた。何か飲み物を買いに行こうと外に出た。しかし、周りにはコンビニのような店はまるで見当たらない。仕方なく、ホテルの目の前にあったナイトマーケットに行ってみた。どうやら先ほどまで雨が降っていたらしく、客はまばらだった。その中でジュースだけ売っている店を発見。マレーシアにいたときから「100」というジュースが気になっていた。パッケージの感じからスポーツドリンクのような気がしていた。1本買って飲んでみる。予想は的中した。ちょっと微炭酸だけど、まさしくスポーツドリンク。1本はそこで飲みきって、プラス2本買って部屋に戻った。その店の人は日本人のおれが珍しいようで、話しかけてきた。そのやり取りの中で、ここがブルネイであることが実感できた。なにかガツガツしたものがない。穏やかな雰囲気が伝わってきた。こういうのが国民性なのかな。
この記事に対するコメント