朝5:30起き。ホテルに朝食は含まれていないので、そのままチェックアウト。ホテルの前でタクシーをつかまえて、10分ほどで目的地に着いた。今日は、オマーンの首都・マスカットに行く。予定では、オマーンで2泊して、そのうち1日でワヒバ砂漠のツアーへ行くつもりだった。
マスカット行きのバスはクロックタワーから1ブロック行ったくらい、エミレーツグループのDNATA(ダナタ)という建物の東側にある「MASIK」というレストランの前から出発する。マスカットからの到着もこのレストランの前になる。タクシーの運転手に「オマーン行きのバスターミナル」と言えば誰でもわかるそうだ。
7:00発のバスに乗った。と言っても実際に出発したのは7:30頃だった。料金は片道で50Dh、往復で100Dh。おれはどうせ帰りも乗るのだからと思って、往復を買ってしまったが、ここは片道だけ買うほうが良い。なぜならこの路線を運行しているバス会社は複数あって、おれは帰りに乗ろうと思ったバスが行きとは別の会社ので、結局帰りもまた50Dh払ってチケットを買いなおすはめになってしまったから。
走り始めて30分後、砂漠地帯を走る道路で、急に路肩にバスを寄せたと思ったら、運転手が外に出てバスを調べ始めた。1分もしないうちに戻ってきて、「壊れたから乗り換えてくれ」と言ってきた。大都市ドバイでもこんなことが起きるのだなと感心してしまった。おれは気づかなかったが、別の会社のバスが並走していたようで、そのバスにすぐに乗り換えることができた。2台分の乗客を足しても、1台でおさまるほどの人数だったからよかったものの、2台とも満員だったらどうなっていたことか。
それから1時間ほど走って、バスはUAEの国境に来た。バスを降りてパスポートを見せて、出国のスタンプを押してもらって終わり。さらにしばらく走って、今度はオマーン入国の荷物検査。荷物を全部持って降りて、青空の下、大きなテーブルの上に荷物を並べて、係官に一つずつチェックしてもらう。調べ方はかなり大雑把で、細かく聞かれたりすることもなかった。そしてさらに走ること数分、オマーンの入国審査。バスを降りて建物の中に入り、窓口で係官にパスポートを見せる。日本人は書類の記入もビザ代もいらなかった。ただパスポートを見せるだけ。空港から入国するときは、ビザ代10US$かかるらしいが。
そして13:30頃、マスカットのルイ・バスターミナルに着いた。着いたはいいが、昨日地球を失くしてしまったおかげで、右も左もわからない。とりあえずバスの運転手にツーリストインフォメーションはどこにあるか聞いてみたが、なんだそれ?という顔をされてわからないと言われる。おれの記憶ではこのバスターミナルの近くに「i」のマークが地球の地図には書いてあったはずなのだが。しばしうろうろしてみたが、荷物もあるし暑いしで、仕方なくバスターミナルの目の前にあった「SUNCITYホテル」に入ってみた。フロントスタッフは極めて不親切。ただ、部屋は20RO(=約6000円)であると。部屋を見せてもらうと全然悪くないから、とりあえず1泊目はここに泊まることにした。まぁ荷物を置けて落ち着けたのはよかったが、フロントで地図をほしいと言うと、「ない」と言われた。全くドバイもそうだが、オマーン人にも温かさはまるで感じられなかった。
そしてホテルの近くにある旅行会社を数軒訪ねてみたが、全て閉まっていた。どうやらオマーン人も昼寝をしっかりとるようだ。なおかつ銀行も閉まっているから、両替すらできない。オマーンに入国してすぐだから、オマーンのお金なんてまるでない。これじゃジュースすら買えない。困ってうろうろしていると、シェラトンホテルがあることに気がついた。10分ほど歩いて着くと、ロープが敷かれ、「改装中」のような立て札があった。頼みのシェラトンまでダメじゃもうしょうがないなと諦めた瞬間だった。
ホテルの近くのKFCで、ドバイのお金しかないが使えないか聞いてみると、問題ないとのことだった。実際、1Dh:1RO=1:10くらいの割合になるので、そんなかんじで計算してくれた。ようやく15時過ぎて昼食をとることができた。家族連れの客の子供たちには東洋人が珍しいのか好奇な目で見られた。
16時を過ぎた頃からぼちぼち旅行会社が開きだした。そのうちの1軒で地図をもらえないか頼んでみたところ、すごい大雑把な地図ではあるがくれた。ようやくこれで当てを作って歩くことができる。さらに違う旅行会社で、ワヒバ砂漠へ行くツアーがないか聞いてみた。電話で誰かにつなぎ、おれに出ろと受話器を渡され、英語で交渉してみた。ところが、向こうの言い値は120RO。およそ36000円。とんでもなく高い。話にならないと思って、すぐに断った。そうそう、ワヒバ砂漠は「あいのり」に出てたかな。砂漠と海が隣接しているようなところ。
ワヒバ砂漠に行けなくなったってことで、とくにオマーンにいる用事はなくなった。あとは世界遺産にもなっているマスカットの街並みを見れれば満足だと思い、明日ドバイに帰ることに決めた。しかもオマーンではGSMでもiモードが使えなかった。
銀行に行ってみたところ、両替する場所だろうと思ったところにレートが全く表示されていなかった。インド系の銀行らしいが、こんなところではしたくないと思い、結局キャッシングでROを手にするしかなかった。
オマーンのタクシーはメーターがない。よって交渉次第。そんなわけだからふっかけてくる。だがドバイと違って、ここマスカットではタクシーは売り手市場。暇そうにしてるタクシーがいっぱいいる。そんなわけでふっかけられれば次々と違うタクシーに声をかけ、結局1.5ROでオールドマスカットに行くことにした。しかし、その運転手、むかつくことにお釣りがないからと言って、1.7ROとられた。まぁめんどくさいから文句も言わずに降りたが。
オールドマスカットは景観を守るため、建物は全て白に統一されている。ようはこれを見るためにマスカットに来たようなものだが、これと言って高い場所がないため、街全体を見渡すことができない。
そしてここには昔の要塞があって、今でも軍の管理下に置かれている。軍人さんもいっぱいいて、でも写真を撮っていいか聞くと意外と優しくOKを出してくれた。
このオールドマスカットをふらふらしているとき、二人組の中学生くらいの少年に出会って、そのうちの一人が「写真を撮ってくれ」と言ってきたので仕方なく撮ってあげた。撮れた画像を見せると彼は喜んで去っていったが、いったい撮られるだけで何がうれしかったのだろう…。
タクシーに乗って、マトラへ。ここは港になっていて、カモメみたいな鳥が大量にいて糞害がひどかった。そして、ふと見つけたマトラスークに入ってみた。中は意外と大きく、イスタンブールのエジプシャンバザールを思い起こさせる。たださすがに日本人客が少ないのもあってか、日本語で客引きをするような店はほとんどなかった。
マトラの海岸沿いを歩いているとき、オマーン人家族の子供たちがおれのほうに向かって「バイバイキーン」と笑顔で言ってきた(聞き間違いでなければ)。オマーンでもアンパンマンが放送されているのだろうか。しかし、日本人=アンパンマンという発想をされてはいい迷惑だ。第一、オマーン人に「あんぱん」が理解できているのだろうか。
日が落ちてからタクシーでルイに戻った。ネット屋に寄って腹をすかせてから、近くのインド料理屋で夕食をとった。ケバブカレーにスープ。これと言っておしくはなかった。