2006年7月11日。
起きたら10:30だった。ハウスーキーピングのおばちゃんに無理やり起こされた。日本と変わらない生活。確か朝食は9:30までとかで、見事に食べ損ねた。10:30に起きた時間のもったいなさよりも、朝食を食べ損ねたもったいなさのほうが大きい。
しばしベッドの中でウダウダしてると、天井に白い物体がいることに気がついた。なんとトカゲではないか!昨日、ホテルの廊下にわんさかいたやつだ。さっきおばちゃんがドアを開けたすきに入り込んできたのか。気持ち悪いが、捕まえる気にはなれない。ってことで、見なかったことにしてシャワーを浴びた。小さいトカゲだし、たぶん大丈夫だろうと自分に言い聞かせた。
今日はアンコールワットには行かずに街歩きを楽しむことを昨日決めた。とりあえず大きな通りを歩いてみた。シヴォタ通りというらしい。おれにとってもこの旅でのメインストリートだった。交通量が多いし、ちゃんと舗装されてるわけじゃないから、かなり埃っぽい。こういうところが東南アジアらしい。
シヴォタ通りを南下して、食事できる店を探した。通りの西側にはけっこうたくさん店があった。観光地だからかカンボジア料理の店は少なくて、中華やタイ、マレーシア料理の店が多かった。
いつも通り、なかなか入る店を決められずにだいぶ南のほうまで来てしまった。店の前でじーっとメニューを見るというのが苦手。店員に話しかけられたら断るのが気まずいから。店の雰囲気と大まかなメニューを一瞬で感じ取って、立ち止まらずに店に入るのが常。そんなこんなで、中華料理屋に入った。地元の人も来そうな感じの店。下はコンクリート、椅子はプラスチックでテーブルにはビニールが敷いてある、東南アジアではよく見るような。後で気付いたがその店は地球にも載っていて、でも昼時なのに観光客っぽいのはおれしかいなかった。焼きそばみたいな麺と他に目ぼしいのがないからという理由でコーラを頼んだ。合計3ドル。日本で考えれば十分安いけど、現地物価では高めかな。でもここの麺はおいしかった。食べるものに困ったらまた来ようと思った。
オールドマーケットに行ってみた。ここに来ると日本人の姿もちらほら。そういや、この街のあちこちで片足をなくした物乞いを見た。楽しい旅にもたまに厳しい現実を突きつけられる。
マーケットって聞くといささかわくわくするが、ここのマーケットはちょっと苦手。中に入ると暗いし、生肉なんかも不衛生に置かれていた。息を止めて歩きたくなるような場所だった。
それから少々、街をふらふらしてネットカフェに行った。ここシェムリアップには何軒ものネットカフェがある。しかし、午前中に来たときには街全体でダウンしてるとかで使えなかった。さすがカンボジア。そんなことはしょっちゅうありそうだ。
1時間ほどネットしてからホテルに戻った。さっきいた白トカゲの姿はもうない。おばちゃんが片付けてくれたのか、どっかに隠れているのか。ベッドの中にいるのだけは勘弁だ。とまぁ怯えながらも、テレビをつけて地球を読んだりでくつろいでいた。すると突然、テレビやらエアコンやら電気が全部消えた。停電だ。あるとは聞いていたけど、ほんとにこんな経験ができるなんて。まぁ騒いでもどうにもできないからしばしほっといたら、1時間くらい経って復旧した。
夜は再びシヴォタ通りをうろうろして、店員の感じの良さそうな店に入った。客もいっぱい。白トカゲも壁に数匹いた。昼も食べたが、麺とスープとアンコールビールを頼んだ。面は焼きうどんってかんじでふつーにおいしかった。スープは酸味が効いてておれは苦手。アンコールビールは東南アジアのビールにありがちな飲みやすくてうすいかんじ。これ全部で4ドル。
夕食が意外と安くすんだこともあって、ホテルに戻る前にカフェに行った。おれが壁にいるトカゲの動向を見守ってると、高校生くらいの店員が
(店員)「こわいの?」
(おれ)「うん。まぁ」
みたいなかんじになって、親切にもそのへんにあったタオルで壁をバシバシたたいてトカゲを追いやってくれた。しぶといトカゲはなかなかおれの周辺から逃げていかなくて店員も苦戦していたけど、その優しさはうれしかった。
明日はアンコールワットに行く。